2007年11月4日日曜日

エレベータを待ちながら

乗換駅でエレベーターを待っていると、大きなスーツケースをかかえて車を降りてきた女性が隣に並んだ。年のころは十代後半から二十代というところだろうか。
 ふと、彼女が降りてきた車の後部座席から、窓を開けじっと見つめる視線があることに気づいた。視線の先には中年の女性が、心配そうに不安そうに、スーツケースの女性を見ている。
 だが、おそらくその視線を感じながら、じっと前を見ている横顔が、凛とした美しさをたたえている。
 やがて、エレベーターのドアが開き、彼女は一瞬後部座席に顔を向け、少しだけ微笑みながら、小さく手を振った。
 エレベータには大きな窓があって、上昇していく一、二秒、後部座席が見えた。視線はまだエレベータを見つめていた。
 旅立つ娘とそれをおくる母の情景・・・だったのだろうか。

  意思は慈愛に護られ飛翔を目指す。ただ幸あれと願う。

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