2008年5月1日木曜日

美酒三品三様に輝いて

宴には、美酒が欠かせない。
本日は、垂涎の品揃え。


茨城県笠間の蔵元・須藤本家の醸す「郷乃誉 花薫光 純米大吟醸」。ワイン鑑定家ロバートパーカーが91ポイントの高得点を付けた事で有名だが、その評価もさにあらん。開栓直後から立ち上る、豊か花の香り。酒造好適米“山田錦”の親(母)米にあたる兵庫県産“山田穂(やまだほ)”をなんと27%精米したという全く雑味を排した爽やかな飲み口と滑らかな口当たり、そして得も言われぬ華やかな吟醸香。久々に、日本酒のイメージが変わるような、あるいはその奥深さを再認識させられるような体験となった。
花薫光という名前の由来は、蔵にある「犬桜」という古木が、5月上旬に小さな花を咲かせ、その花が踊るように舞い、つくばいの水の上に落ちて光輝く姿から思いつかれたとの事。
まさに、そんな味わい。あるいは、身震いするほどの凄みを感じる美人、だがその微笑みは弥勒のよう。


二本目は福井県永平寺町の黒龍酒造「黒龍 純米大吟醸生 火いら寿」、「花薫光」とは対極のような淡麗な味わい、喉ごしは絹の滑らかさ、香りは爽やかでひかえめな果実を感じる。これもまた美味い。明治初期、生酒の名に使用していた版木が見つかり「火いら寿」と名付けられたそうだ。
清楚で上品な上等な紬をまとった和服美人、はにかむような微笑みは少し憂いを秘め、その物腰は仕舞のよう。


そして三本目、静岡県焼津市の磯自慢酒造「磯自慢 酒友 純米大吟醸 エメラルド」。実は一挙に三本目が開くのは想定外。すでにかなりアルコールがまわり、味覚・嗅覚も怪しくなっている。が、自社保存酵母(静岡酵母)で醸されたフルティーな含み香りは確かだ。やや甘みを感じたが、初々しい味わいが鮮烈。
若々しい浴衣の似合う娘さん、お稽古帰りに少しほつれた髪を後ろで結わき。踊るような足取りで坂道を下るよう。

0 件のコメント: